第35回例会




新潟オルガン研究会第35回例会

プログラムの前半は会員の演奏、後半はオルガニスト青田絹江氏によるミニコンサートです。

【プログラム】

第1部 教会とオルガン
D.ブクステフーデ (1637?-1707)
コラール幻想曲「暁の星はいと美しきかな」BuxWV223
 オルガン独奏 渡辺まゆみ

F.クープラン (1668-1733)
 「教区のためのミサ」より グランジュによる奉献唱
 オルガン独奏 市川 純子

A.ヴィヴァルディ (1678-1741)
 カンタータ「疑いの影さして」RV678
 ソプラノ  西門優子
 リコーダー 皆川 要
 オルガン  笠原 恒則

J.ラングレ (1907-1991)
 テ・デウム
 オルガン独奏 渡辺まゆみ
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第2部 青田絹江 オルガン・ミニコンサート
N.ブルーンス (1665-1697) 
 前奏曲 ホ短調

G.フレスコバルディ (1583-1643)
 「ベルガマスカ」

N.ブルーンス (1665-1697)
 前奏曲 ト長調

作曲者不詳(17世紀オランダ)
 ダフネ

J.S.バッハ (1685-1750)  
 幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
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日 時:平成15年10月12日(日)午後2時開演
場 所:花園カトリック教会(新潟市花園2-6-9)
参加費:1,000円
主 催:新潟オルガン研究会
連絡先:渡辺まゆみ Tel: 025-242-0640

【曲目解説】

D.ブクステフーデ(Dieterich Buxtehude, 1637-1707)
コラール幻想曲「暁の星はいと美しきかな」 BuxWV223
J.S.バッハに多大な影響を与えたブクステフーデは出生地(当時のデンマーク王国)で父からオルガンの手ほどきを受け,後に北ドイツのリューベックにある聖マリア教会で生涯オルガニストを勤めた.クリスマスのコラールに基づくこの曲では,コラールの各行が様々な手法で奏される.リズミカルな音型と跳躍した3連符のグループは暁の星のまたたく様を暗示し,連続した音階的進行はキリスト降誕の情景を思わせる.(渡辺まゆみ)

F.クープラン(Francois Couperin, 1668-1733)
「教区のためのミサ」より グランジュによる奉献唱
F.クープランはフランスの作曲家,オルガ二スト.音楽一族のためとくに大クープランとよばれる.グランジュとはリード管を基調としたフランス特有の音色でありまた奉献唱は,パンとブドウ酒を祭壇に供える際に演奏される音楽である.対照的な3つの部分を持つこの作品は華やかなまた威厳に満ちたフランス風序曲に始まり,内省的な書法によるフーガを経て,最後は明るく快活なジーグのリズムによりし締めくくられる.(市川純子)

A.ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi, 1678-1741)
カンタータ「疑いの影さして」 RV678
「赤毛の司祭」ヴィヴァルディは1678年,ヴェネツィアに生まれた. サン・マルコ大聖堂のヴァイオリン奏者だった父に音楽の手ほどきを受け,15歳で聖職に入り25歳で司祭になる.聖ピエタ養育院で少女たちに弦楽器を教え,この学校の演奏会のために,たくさんのミサ曲やオラトリオ,カンタータなどを作曲した.カンタータは約40曲あり,今日演奏する曲は「フルート伴奏付きソプラノのためのカンタータ」である.(西門優子)

J.ラングレ(Jean Langlais, 1907-1991)
3つのグレゴリオ聖歌のパラフレーズより 感謝の讃歌「テ・デウム」
ラングレはフランスの盲目の作曲家.1945年,オルガン典礼運動の代表者シャルル・トゥルヌミールから聖クロチルド教会のオルガニストの地位を引き継いだ.この曲は石造りの教会に朗々と響きわたるかのような聖歌の断片をはさみながら荘厳な趣で始まる.中間部では一転して静かになるが,次第に音色や速度を増しながら,堂々としたクライマックスを迎える.(渡辺まゆみ)

N.ブルーンス(Nicolaus Bruhns, 1665-1697)
前奏曲 ホ短調
北ドイツ楽派の鬼才ブルーンスは,ブクステフーデのもとでオルガンと作曲を学び,フーズム大聖堂のオルガ二ストとして活躍した.類まれなるヴィルトゥオーゾとして知られ,ヴァイオリン,ガンバの名手でもあった.自作のカンタータを,オルガンのペダルでコンティヌオを,同時に,ヴァイオリンを弾きながら歌ったという驚くべき逸話が残っている.「前奏曲 ホ短調」は,典型的なファンタジー様式の5部から成り,2つあるホ短調のうち「大ホ短調」として知られ,オルガ二ストたちを魅了してやまない傑作である.(青田絹江)

G.フレスコバルディ(Girolamo Frescobaldi, 1583-1643)
「ベルガマスカ」
鍵盤音楽史上,17世紀前半最大の作曲家フレスコバルディは,ローマの聖ピエトロ寺院のオルガ二ストとして活躍し,その天才的妙技は3万人の会衆を魅了したと伝えられている.彼は自由な即興様式,対位法楽曲など諸形式を完成させ,バッハをはじめ多くの音楽家達に影響を与えた.「ベルガマスカ」は北イタリア・ベルガモ地方に発した舞曲であり,親しみやすい旋律が,対位法的手法を最大限に用いて書かれている.(青田絹江)

N.ブルーンス(Nicolaus Bruhns, 1665-1697)
前奏曲 ト長調
この曲はカノン風のトッカータに始まり,走句,和弦,暖徐楽句,即興的な挿入と,「ホ短調」同様ファンタジー様式で構成され,2つのフーガは当時の北ドイツ楽派の作曲家が好んだ同音反復によるテーマを用いている.(青田絹江)

作曲者不詳Anonyme(17世紀オランダ)
ダフネ
「ダフネ」とはギリシャ神話に登場する人物を指し,当時様々な作曲家によって好んでテーマに用いられた.この曲の作曲者は不詳であるが,スヴェーリンクの弟子,シャイデマンの作風が感じられる.数ある「ダフネ」の中でも最も美しい変奏曲である.(青田絹江)

J.S.バッハ(J.S. Bach, 1685-1750)
幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
この名曲は,バロック期最大の巨匠バッハが,ハンブルクの聖ヤコビ教会のオルガ二ストを志願した際に,その採用試験の試験官であったオランダの大オルガ二スト,ラインケンに敬意を表し,自作自演をしたものである.「幻想曲」はケーテン時代(1717-1723)の作曲と思われ,レチタティーヴォ風の劇的な響きと大胆な和声を伴い,静かなフガートが挿入されている.一方「フーガ」の成立はヴァイマール時代と推定され,その美しい主題は古いオランダ民謡に基づき,4声の長大なフーガが展開される.「大フーガ」ト短調として親しまれている.(青田絹江)