欧州オルガン音楽の旅
【プログラム】 第1部 ドイツ、イギリス D.ブクステフーデ/シャコンヌ ホ短調 オルガンソロ:渡辺まゆみ J.S.バッハ/ノイマイスター・コラール集より 「かくも喜びに満てるこの日」BWV719/「心より慕いまつるイエスよ、汝いかなる罪を」BWV1093 「おお 神の子羊 罪なくして」BWV1095/「人はみな死すべき定め」BWV1117 オルガンソロ:八百板 正己 G.F.ヘンデル/オラトリオ「メサイア」より「その来る日には、だれが耐え得よう」(ソプラノ版) H.パーセル/オペラ「妖精の女王」より「聞け!大気がこだまするのを」 ソプラノ:西門優子,オルガン:笠原恒則 ー 休 憩 ー オルガンミニ講座:松本 彰(新潟大学人文学部教授) 第2部 イタリア、フランス G.フレスコバルディ /トッカータ第6番 オルガンソロ:海津 淳 L.N.クレランボー/「第2旋法組曲」より プラン・ジュ/フルート/ナザールのレシ/グラン・ジュによるカプリス オルガンソロ:市川純子 L.ヴィエルヌ/ウエストミンスターの鐘 オルガンソロ:井上美津子 A.ギルマン/伝説曲と交響曲的終曲 Op71 オルガンソロ:大作 綾 司会進行:林 豊彦 日 時:平成16年6月20日(日)午後2時開演 会 場:日本キリスト教団東新潟教会 参加費:800円(全席自由) 主 催:新潟オルガン研究会 後 援:日本キリスト教団東新潟教会 チラシはこちらです。 |
【曲目解説】
D.ブクステフーデ(1637-1707) シャコンヌ ホ短調 ドイツの作曲家のブクステフーデは、特にオルガン音楽の面ではバッハ以前の最大の巨匠である。終生北ドイツ聖マリア教会のオルガニストを務め、<夕べの音楽>という教会演奏会を発展させた。シャコンヌはゆるやかな3拍子の曲でパッサカリアと似ているが、オスティナートがバス以外の声部にも現れるところが違っている。彼の2曲のシャコンヌのうちホ短調のこの曲も、オスティナートがバスから他の声部に移り、次第に音色や音量を増しながら華やかに終わる。(渡辺まゆみ) J.S.バッハ(1685-1750) 「ノイマイスター・コラール集」より 「かくも喜びに満てるこの日」BWV719 「心より慕いまつるイエスよ、汝いかなる罪を」BWV1093 「おお 神の子羊 罪なくして」BWV1095 「人はみな死すべき定め」BWV1117 1984年に発見された「ノイマイスター・コラール集」は、バッハが若干15歳以前に作曲したと思われる新発見のコラールを多数含んでいる。この発見は従来のバッハ観の見直しにも関わるホットな話題(例えば最後に演奏するBWV1117との類似からチェンバロ組曲変ロ長調BWV821の偽作説が覆されつつあるなど)をいろいろ提供している。どれも演奏時間2〜3分の小品ながら既に先輩作曲家の模倣を抜け出そうとする意欲が見られ、その独創性は数年後に始まる「オルガン小曲集」の創作へと引き継がれてゆくことになる。(八百板正己) G.F.ヘンデル(1685-1759) オラトリオ「メサイア」より<その来る日には、だれが耐え得よう>(ソプラノ版) メサイアはヘンデルの存命中に73回も上演され、歌手や場所等の都合により、さまざまな変更がなされた。第6曲目のアリアは通常、アルトやバスで歌われる。このソプラノ版は1754年にロンドンで演奏されている。(西門優子) H.パーセル(1659-1695) オペラ「妖精の女王」より<聞け!大気がこだまするのを> パーセルのオペラ「妖精の女王」(1692)はシェークスピアの「真夏の夜の夢」が原作である。有名なソング<聞け!大気がこだまするのを>は歌のパートだけでなく、導入部のトランペットのリトルネロにも、コロラトゥーラが使用されて華やかさを増している。本日はオルガンで演奏される。(西門優子) G.フレスコバルディ(1583-1643) トッカータ第6番 フェラーラに生まれ、ローマ、サン・ピエトロ大聖堂オルガニストとして活躍した初期バロックを代表する鍵盤奏者フレスコバルディ。彼の作品の多くはオルガン、チェンバロ共に演奏可能であるが、<トッカータ第2集>(1627/1637)にはオルガンを念頭においた2つの様式すなわち<聖体奉挙のためのトッカータ>および<ペダル付き>トッカータが含まれている。この第6番の作品では長音価のペダル音に支えられた沸き立つようなパッセージと驚くべき不協和音が、輝かしいイタリア・オルガンの響きを存分に引き出している。(海津 淳) L.N.クレランボー(1676-1749) 「第2旋法組曲」より プラン・ジュ/フルート/ナザールのレシ/グラン・ジュによるカプリス クレランボーは父のドミニク・クレランボーに音楽を学んだと考えられている。彼は1707年パリのグラン・オーギュスタン教会のオルガニストに就任したが、その後もベルサイユやパリでオルガニストを歴任している。この第2旋法組曲は典礼用というよりも、自由な作曲がなされており、優雅さ、快活さ、明るさなどを持ち合わせた演奏会的な曲に仕上がっている。(市川純子) L.ヴィエルヌ(1870-1937) ウエストミンスターの鐘 L.ヴィエルヌは、パリのノートルダム大聖堂などのオルガニストも務めた、19世紀以降のフランスの作曲家、オルガニストとして最も重要な一人とされている。全24曲の「幻想小曲集」はヴィエルヌの代表作のひとつで、4つの組曲からなっているが、単独で演奏されることの多いこの曲は、その第3組曲、作品54の第6曲にあたるものである。ウエストミンスター寺院の鐘の音をモティーフに展開される重厚な曲。(井上美津子) A.ギルマン (1837-1911) 伝説曲と交響曲的終曲 Op.71 A.ギルマンは仏のオルガン奏者・作曲家である。オルガン製造家の父親のもとで学び、ブリュッセルではレメンス(J.N.Lemmens)について修業した後、パリのトリニテ教会のオルガニストとなり、ヴィドールの後継者としてコンセルヴァトワールの教授となる。主にオルガン曲を作曲し、M.デュプレ等多くの弟子を育てた。本日演奏する曲は2部構成になっており、第1部ではブルターニュ地方の民謡が歌われ、第2部では1部と対照的なフーガがシンフォニックに展開される。(大作 綾) |