第23回例会



春のパイプオルガンコンサート

●F. クープラン/<教区のミサ>より
キリエより「テノール上の第1キリエ」
キリエより「ジュー・ダンシュによるフーガ」
グロリアより「テノール上のティエルス」
オルガン独奏:海津 淳

●G. F. ヘンデル/リコーダソナタ ヘ長調 HWV369
リコーダ:安田 宏
オルガン:市川純子

●J.S. バッハ/前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
オルガン独奏:本間真弥

〜休憩〜

●J.S. バッハ/トリオソナタ ト長調 BWV1038
ヴァイオリン:藤田剛央
リコーダ:皆川 要
オルガン:八百板正己

●J.S. バッハ/<アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳>より
パイプにおいしいタバコを詰めて BWV515
思いみよ、わが霊 BWV509
御身がともにあるならば BWV508
ソプラノ:西門優子
オルガン:八百板正己

●F. メンデルスゾーン/<6つのオルガンソナタ>(Op.65)より第3番 イ長調
オルガン独奏:市川純子

<曲目解説>
●<教区のためのミサ>より
キリエより「テノール上の第1キリエ」
キリエより「ジュー・ダンシュによるフーガ」
グロリアより「テノール上のティエルス」
F.クープラン(1668-1733)
 この時代のフランス・オルガン音楽は、グレゴリオ聖歌とオルガンが交互に奏させる当時のミサに従って書かれており、各曲はそのタイトルに示す通り多彩な様式と固有の音色を備えている。キリエの冒頭、第1曲はテノール声部にグレゴリオ聖歌定旋律が、続くジュー・ダンシュ(リード・ストップ)のフーガでは同旋律がより装飾的に。そしてソロ・ストップ、ティエルス管による終曲は、とりわけフランス的な響きを持つ作品である。(海津 淳)

●リコーダソナタ ヘ長調 HWV369
G.F. ヘンデル(1685-1759)
 ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルはJ.S.バッハの生まれた年と同じ年である1685年の2月23日にドイツで生まれました。J.S.バッハは、3月21日が誕生日なので、ヘンデルが約1ヶ月年長ということになります。  リコーダーと通奏低音のためのソナタヘ長調HWV369は、1930年頃にロンドンで作品1として出版された12曲(改訂版では14曲、その後15曲)の独奏楽器(リコーダー、トラヴェルソ、ヴァイオリン、オーボエ及びヴィオラ・ダ・ガンバ)のためのソナタ集の第11番目の曲に当たります。曲の全体は、ラルゲット、アレグロ、シチリアナ、アレグロの4つの楽章で構成されています。(安田 宏)

●前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
J.S. バッハ(1685-1750)
 前奏曲はヴァイマル時代、フーガの原型はケーテン時代に作曲され、全体の完成はライプツィヒ時代とされている。下降ラインの美しい流動的なフーガ主題が印象的である。なおこのフーガの原型はバッハのクラヴィーアのためのフーガイ短調BWV944とみなされている。フランツ・リストは全曲をピアノ用に編曲している。(本間真弥)

●トリオソナタ ト長調 BWV1038
(Largo〜Vivace〜Adagio〜Presto)
J.S. バッハ(1685-1750)
 「トリオソナタ」とは高音の2声部と通奏低音からなる、バロック時代の器楽曲の代表的な形式です。  実は最近の研究によるとこの曲はバッハの真作ではないらしく、おそらくバッハの息子の作品をバッハが手を入れて仕上げたのではないかとも言われていますが、最終楽章に堂々たるフーガを置くなど、とても意欲的な作品です。 本日は原曲のフルート・パートをリコーダーで、そして通常はチェロとチェンバロで奏される通奏低音パートをオルガンで演奏し、オルガンが持つ多彩な音色で楽章間の性格を際立たせた演奏をいたします。(八百板正己)

●<アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳>より
パイプにおいしいタバコを詰めて BWV515
思いみよ、わが霊 BWV509
御身がともにあるならば BWV508
J.S. バッハ(1685-1750)
 バッハの2度目の妻アンナ・マグダレーナが1721年バッハに嫁いだとき、まだ20歳の若さであった。彼女はバッハ家において、先妻の子4人と自分の子供13人の母であり、夫の写譜を完璧にこなすアシスタントであり、美しいソプラノの声を持つ歌手でもあった。  そんな妻に贈った曲集がこの「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」である。この音楽帳にはバッハの作曲した曲だけではなく、アンナや子供達の曲、他の作曲家の曲なども含まれている。本日演奏する3曲は、1725年の「第2巻」に入っており、BWV515は息子のハインリヒの曲に、バスをバッハが加筆、BWV509は偽作、BWV508はG.H.シュテルツェルの作といわれている。(西門優子)

●<6つのオルガンソナタ>(Op.65)より第3番 イ長調
F. メンデルスゾーン(1809-1847)
第1楽章 Con moto maestoso
第2楽章 Andante tranquillo
 メンデルスゾーンはオルガンのために6つのソナタを書いた。 このソナタ集は、彼の作品の出版を引き受けていた英国の出版社の委託に答え、1844年に作曲された。「ソナタ」という題名がついているが、いわゆるソナタ形式で書かれた曲は、1曲もない。この第3ソナタの第1楽章では、歓喜の中の意気揚々とした気分がフーガ形式によって表現され、Bassに詩編130のコラール(マルティン・ルター(1483-1546)作曲)「主よ、私は深い淵からあなたに呼ばわる」が聞かれる。通常ソナタは活気あふれた楽章で終わるが、この曲は優しい歌で終わっている。(市川純子)

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第24回例会



サマーコンサート
A. de カベソン
賛歌「めでたし、海の星」
第2旋法のキリエ
「騎士の歌」によるディフェレンシアス
第1旋法のティエント第3番
オルガン:八百板正己

J.J. フローベルガー
ファンタジア 第2番 イ短調
カンツォーナ 第2番 ト短調
オルガン:笠原恒則

D. ブクステフーデ
第1旋法によるマニフィカト
オルガン:海津 淳

〜J.S.バッハ連続演奏会第3回〜
J.S. バッハ
前奏曲とフーガ ト短調 BWV535
オルガン:井上美津子

J.S. バッハ 
ファンタジート長調BWV572
オルガン:本間真弥
〜フルート奏者中林恭子氏を迎えて〜

G.F. ヘンデル
フルートソナタ ヘ長調 HWV369

J.S. バッハ/J. ユーゴン
アンダンテ

C-M. ヴィドール
アンダンテ カンタービレ

J.S. バッハ/C.F. グノー
アヴェマリア
フルート:中林恭子
オルガン:宇田蕗子

C. フランク
「3つの小品」より カンタービレ
L. ボエルマン
「ゴシック組曲」op.25より 
序奏-コラ-ル
ゴシック風メヌエット
オルガン:市川純子

<曲目解説>


●賛歌「めでたし、海の星」
第2旋法のキリエ
「騎士の歌」によるディフェレンシアス
第1旋法のティエント第3番
A. de カベソン(1510−1566)
 カベソンはルネサンス期スペインで活躍した盲目のオルガン奏者です。オルガン音楽としては最も初期のものに属するにもかかわらず確固とした形式と深い精神性を備えており、その偉大さを称えて「スペインのバッハ」などと呼ばれることもあります。初めの2曲はグレゴリオ聖歌に基づく典礼音楽、3曲目は俗謡による変奏曲、最後の「ティエント」は後の時代のフーガに相当する対位法楽曲です。これらの曲はおそらく過去に新潟県内で演奏されたどのオルガン曲よりも古いでしょう。しかし「古いこと」と「劣っていること」とは何ら関係が無く、その時代ごとの美意識に沿った優れた音楽が鳴り響いていたのだということを、これらの曲を通してお伝えできればと願っています。(八百板正己)

●ファンタジア 第2番 イ短調
 カンツォーナ 第2番 ト短調
J.J. フローベルガー
 ヨハン・ヤーコプ・フローベルガーは、J.S.バッハより70年ほど前のドイツの人です。諸国の音楽家たちと親交を結んだ国際派で、各地で身につけた技法を持ち帰り、戦禍で立ち遅れていたドイツの音楽に新風を吹きこみました。ファンタジアはがっちりと組み立てられた四声体で、冒頭の主題をそれぞれの声部が模倣しながら進みます。カンツォーナも入り組んだ対位法で書かれていますが、曲が進むにつれて、名前の通りのびやかな歌に流れていきます。どちらも 地味な曲ですが、最初に出てくるメロディーを覚えてしまうのが、楽しく聴くコツです。のちにバッハらの手で大輪の花を咲かせたフーガは、こうした伝統を母胎として生まれてきたのでした。(笠原恒則)

●第1旋法によるマニフィカト
D. ブクステフーデ(1637頃-1707)
 F.トゥンダーの後継者、そしてN.ブルーンスの師であるディートリヒ・ブクステフーデ(1637頃-1707)は、北ドイツ・リューベックの聖マリア教会オルガニストとして高い名声を博した。その作品の領域は自由形式のプレリュード、コラール作品、カンツォーネ等対位法的楽曲と、後のバッハに連なるオルガン音楽の主要な様式を網羅している。<第1旋法によるマニフィカト>は、晩課における聖母マリアの賛歌<マニフィカト>の旋律に基づきながらも、その形式は自由形式のプレリュードと同様、比較的短い複数のトッカータとフーガによる多部分構成をとっている。手鍵盤と対等に活躍するペダル、躍動するモティーフ、幻想的な気風が、彼を頂点とする北ドイツ・オルガン音楽の特徴を伝えている。(海津 淳)

●前奏曲とフーガ ト短調 BWV535
J.S. バッハ(1685-1750)
 アルンシュタット(1703-1707)、ないしミュールハウゼン時代(1707−1708)の作品。プレリュードは、冒頭に主音オルゲルプンクトが現れるだけで、それ以後は全く自由な即興に変わっていくのが特徴。具体的には、属音オルゲルプンクトが顔を出すや否や中断され、速い音階的走句が現れ、続いて半音階的な下降による音型的反復に変わっていく。最後のクライマックスでは5声部楽節になる。フーガは、同音反復を特徴とする主題(ブクステフーデ風)やトリラー的動き、多彩な対位旋律、また、最後での即興的盛り上がりに見られるように、北ドイツ流の作風が色濃く打ち出されている。(井上美津子)

●ファンタジート長調BWV572
J.S. バッハ(1685-1750) 
 この曲が作曲させたのは、1708年以前とみられているが、ヴァイマル時代説もある。3つの部分から成っている。第1部「Tr峻 vitement 」は、トッカータ風の急速なパッセージ。第2部「gravement 」は、5声部で書かれた重厚な和音の連続。第3部「Lentoment」は、再びトッカータ風の急速なパッセージ。Piece d'orgue(オルガン曲)とフランス語で名づけられたこの曲は、第1部と第3部の速度記号もなぜわざわざフランス語で書かれたのかということがいまだに謎のひとつとなっている。(本間真弥)

●フルートソナタ ヘ長調 HWV369
ラルゲット〜アレグロ〜シチリア−ナ〜アレグロ
G.F. ヘンデル(1685−1759)
 ヘンデルはJ.S.バッハとならぶバロック時代の作曲家。この曲はフルートやヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、オーボエ、リコーダーを独奏楽器にしたソナタ集(15曲、1732年出版)の中のひとつで、彼自身でオルガン協奏曲(HWV293)に編曲している。
●アンダンテ
J.S. バッハ(1685-1750)/J. ユーゴン
 フルートとオルガン(またはピアノ)のためのこの曲は次のグノーの曲と同様にオルガンがJ.S.バッハの前奏曲の旋律を弾き、フルートがそれにあわせメロディーを奏でている。J.ユーゴンについては詳しくはわからないが今世紀のフランス人作曲家らしい。
●アンダンテ カンタービレ
C-M. ヴィドール(1844-1937)
 ヴィドールは10曲のオルガン交響曲*で有名なフランスの作曲家でパリ音楽院でオルガンも教えていた。門下には、シュバイツァーやオネゲル、ミヨーらがいる。アンダンテ・カンタービレは第4オルガン交響曲の第3楽章をもとにフルートとオルガンのためにアレンジされた曲である。なぜか、懐かしい感じのする曲である。
*オルガン交響曲とは、オルガン独奏の曲でフランス独特の形式。
●アヴェマリア
J.S. バッハ(1685-1750)/C.F. グノー(1818-1893)
 フランスの作曲家グノーがJ.S.バッハの前奏曲の旋律に歌のパートを書き加え、ソプラノのための「アヴェ・マリア」(1859年)としたが、その親しみやすいメロディーのために数々の楽器で演奏されることが多い。(中林恭子)

●「3つの小品」より カンタービレ
C. フランク(1822-1890)
 フランクのオルガン曲は多数あるが主だった曲は12曲と言われている。この「3つの小品」は、パリのトロカデロ宮殿大広間の65のストップを持つ4段鍵盤のオルガンを、フランク自身が演奏するために作曲されたものである。カンタービレはこの作品の2曲目で、控え目な優しい音色を使った、奥深く美しい調べを持った曲である。
●「ゴシック組曲」op.25より 序奏−コラール、メヌエット
L. ボエルマン(1862-1897)
 ボエルマンはフランスの作曲家、オルガン奏者である。ゴシック組曲op.25は4曲(もしくは5曲)からなる叙情的でありまた華やかな輝きを持った組曲である。序奏−コラールは威厳のある堂々としたコラールであり、メヌエットは絵に書いたような軽快なリズムが転調しながら、明るく大いなる喜びのように終わっていく。(市川純子)


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第25回例会



レクチャーコンサート
鍵盤楽器の歴史を訪ねて
―クラヴィコード,チェンバロ,オルガン,ピアノの魅力―

レクチャー:松本 彰(新潟大学人文学部 教授)

第1部 クラヴィコード,チェンバロ,オルガン
クラヴィコード
演奏:松本 彰
J.S.バッハ(1685-1750)
メヌエット ト長調
M.クレメンティ(1752-1832)
ソナチネ ハ長調,より

チェンバロ
演奏:丸山洋子
L.クープラン(1626-1661)
組曲 ハ長調,より
F.クープラン(1688-1733)
フランスのフォリア,またはドミノ,より
J.N.P.ロワイエ(1705-1755)
スキタイ人の行進

オルガン
演奏:本間真弥  
J.S.バッハ(1685-1750)
前奏曲とフーガ ニ短調 BWV539
A.ギルマン(1837-1911)
オルガン・ソナタ第1番 ニ短調 op.42,より「パストラーレ」
演奏:市川純子
F.メンデルスゾーン(1809-1847)
オルガン・ソナタ第6番 op.65,より「フーガ」,「フィナーレ」


第2部 ピアノ
ピアノ
演奏:相馬上子
F.リスト(1811-1886)
オーベルマンの谷(巡礼の年報 第1年 スイス,より)
F.F.ショパン(1810-1849)
バラード 第4番 ヘ長調 op.52


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第26回例会



クリスマスコンサート
第1部

J.P.スヴェーリンク
「我が青春はすでに過ぎ去り」
オルガン独奏:八百板 正己

J.S.バッハ
フーガの技法 BWV1080より
コントラプンクトゥス1 (四声の単純フーガ)
コントラプンクトゥス9 (四声の二重フーガ)
コントラプンクトゥス8 (三声の三重フーガ)
オルガン独奏:笠原恒則

A.ギルマン
パストラーレ(リコーダー・オカリナ)
R.シューマン
子守唄(オカリナ)
F. グルーバー
聖 夜(リコーダー・オカリナ)
リコーダー:阿部れい子
オカリナ :五十嵐正子
オルガン :市川 純子
第2部

H.パーセル
グラウンド ハ短調 Z.221
オルガン独奏:水澤詩子

歌劇「ダイオクリージャン」Z.627より
シャコンヌ ハ短調
リコーダー:皆川 要
      林 豊彦
オルガン :水澤詩子

G.フォーレ
小ミサ曲
Kyrie(主よ、憐れみ給え)
Sanctus(聖なるかな)
Benedictus(ほむべきかな)
Agnus Dei(神の子羊)
ソプラノ:西門優子
オルガン:山田淳子

F.メンデルスゾーン
<6つのオルガンソナタ>OP.65より
第6番ニ短調
Choral and Variations:Andante sostenuto
Allegro molto
Fuga:Sostenuto e legato
Finale:Andante
オルガン独奏:市川純子

<曲目解説>

●我が青春はすでに過ぎ去り
J. P. スヴェーリンク (1562-1621)
 17世紀初めにアムステルダムで活躍したスヴェーリンクはオランダを代表する鍵盤音楽の作曲家で、多くの弟子を育てて北ドイツ・オルガン楽派の祖となった人です。当時カルヴァン派教会の礼拝では(ルター派とは異なり)オルガン演奏は禁止されていましたが、市当局主催の市民のためのオルガン演奏会はオランダ各地で盛んに行われており、スヴェーリンクのオルガン曲もそうした演奏会で広く市民に披露されました。俗謡に基づく変奏曲「我が青春はすでに過ぎ去り」は彼の代表的な作品です。元のメロディーは極めて単純ですが、そこから生み出される数々の変奏はこの上なく美しく、時として宗教的でさえあります。(八百板正己)

●フーガの技法 BWV1080より
 コントラプンクトゥス1 (四声の単純フーガ)
 コントラプンクトゥス9 (四声の二重フーガ)
 コントラプンクトゥス8 (三声の三重フーガ)
J.S. バッハ(1685-1750)
 名は体を表しますので、曲名を通して解説いたします。「コントラプンクトゥス」とは、ラテン語で「対位法」の意で、複数の旋律を組み合わせる作曲技法を指します。バッハは生涯これに修練してきましたが、晩年に至ってその奥義をまとめ、一冊の曲集として後世に遺しました。それがこの『フーガの技法』です(数字は曲集内の番号)。「○声」はフーガの声部数です。例えば四声なら、ソプラノ・アルト・テノール・バスという合唱に相当します。「○重」は主題の数を示します。普通のフーガは一つですが、今回は複数の主題を持つものを取り上げました。それぞれ独自に歩んできたいくつもの主題が、あるとき一緒に奏されて、それでいて調和を醸し出すというのが聴きどころです。なお、本日は演奏しませんが、この曲集には四重フーガ(!)も含まれています。(笠原恒則)

●パストラーレ
A.ギルマン(1837-1911)
 ギルマンはフランスの作曲家、オルガニストでパストラーレはソナタop.42の第2楽章である。リコーダー、オカリナはキリストの降誕に遠くから聞こえてくる喜びを、オルガンのコラール的な部分では、天使の喜びの声をイメージして演奏したい。
●子守唄
R.シューマン(1810-1856)
 この曲はもともとピアノ曲で、音楽帳op.124から編曲されたものである。飼い葉桶の中のキリストを見つめる,マリヤのやさしいまなざしを感じる曲である。
●聖 夜
F. グルーバー(1787-1863)
 クリスマスになると、どれほどの人が歌い聞くことだろうか。美しい旋律が人々の心を打ち、あっという間に各地に広がった。グルーバーは、オーベルンドルフの聖ニコラス教会のオルガニスト兼、聖歌隊長で作詞はザルツブルグの神父、ヨーゼフ・モールである。初演はギター伴奏であった。(市川純子)

●グラウンド ハ短調 Z.221
 歌劇「ダイオクリージャン」Z.627より
 シャコンヌ ハ短調
H.パーセル(1659-1695)
 H.パーセルはイギリス音楽史上最大の作曲家。36歳での夭折が惜しまれるが、数々の名曲を残してくれた。「グラウンド ハ短調」は、バスの旋律(グラウンド)が何回も繰り返され、その上に上声部が変奏を展開する。各変奏間には美しいテーマが繰り返され、ロンド形式にもなっている。資料の伝承から考えて、おそらくパーセル作ではないが、そんなことはどうでもいいと思わせるくらい魅力的な小品。続けて演奏される同調の「シャコンヌ」でも6小節のグラウンドが繰り返される。2本のリコーダーによる優雅な2重奏は同じメロディーが追いかけっこする<カノン>になっている。(林 豊彦)

●小ミサ
G.フォーレ(1845-1924)
 ガブリエル・フォーレは、19世紀の中頃から20世紀の初めにかけて活躍した、フランスの音楽家です。教会のオルガン奏者、音楽学院の教授、そして作曲家と多くの顔を持ち、数々の曲を生み出しました。現在「小ミサ」と呼ばれるこの曲は、1881年ころ小規模なアマチュア合唱隊(メンバーは漁師たち)のために作曲されました。ミサ曲としてはCredoやGloriaが欠けていますが、メロディーは非常に美しくロマンチックな曲です。本来は三声のミサですが、今回はオルガンとソプラノ独唱で演奏いたします。(西門優子)

●オルガンソナタ第6番ニ短調OP.65
F.メンデルスゾーン(1809-1847)
 メンデルスゾーンのソナタは6曲からなっているが、ソナタ形式で書かれた曲は1曲もない。この第6ソナタは「天にいますわたしたちの父よ」のコラール変奏曲である。華やかなコラール変奏で終わらず、フーガ、フィナーレと続く。フィナーレはこのソナタの終わりではなくソナタ集全体の終わりとして、作曲されたものである。(市川純子)


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